フェルマーにいたる道その9

 フェルマ周辺のことというか、ワイルズ氏の論文がわかりたい

というブログですが、志村谷山予想が楕円曲線のモジュライ

の問題であり、有理数体上の話であるから、スキームが必要で

複素解析の手法が思うようにつかえないのはわかります。

ただやはり、おおもとは複素解析からでてきているので

そこの基本知識は必要で、それなしにはイメージもわかない

気がします。楕円曲線にはいくつかの顔があり、それらが

同値という定理だけでもとてもきれいに感じます。

複素トーラス C/L, が 非特異三次曲線として

P_2(C) に埋め込める、逆に非特異三次曲線は適当な

格子 L で , C/L と表現できるというのは不思議です。

一流の数学者セール氏のGAGA の原理があり

P_n(C) の複素多様体を代数的にみても結果は同じ

になる。ふつう複素多様体の方がずっと多いと

思われるが、リーマン球面上の有理形関数が代数的

有理関数に限るという定理のようなことが起きている

のでしょう。

 

フェルマーにいたる道その8

志村谷山予想についてもう少し書かせてもらうと、

マチュアが書いていますので、専門家には不正確とか

ご容赦ねがって。予想の内容を書くと

有理数体上の楕円曲線はすべてモジュラーである

となります。モジュラーな楕円曲線の研究を

Weil 氏が精力的に行い、Weil 曲線 という名前

があるようで、Taniyama-Weil 予想といのも

そこから来ているのかもしれません。

 

Eichler-Shimura の理論というのがあり、ある種のモジュラー

形式から楕円曲線ができ、別の由来のL関数が一致するという

とても素晴らしい定理があります。これが有理数体上の

楕円曲線すべてでいえるというのが志村谷山予想と思います。

別の由来とは楕円曲線は整数係数になおすと有限体へ還元

されます。各素数pについて、有限個をのぞき楕円曲線

になりその有限個を補正したL 関数と もとの

モジュラー形式に付随するL 関数が一致するということです。

フェルマーにいたる道その7

 志村谷山予想の証明について勉強するのに

必要なこと、楕円曲線のモジュライについての予想

なので、楕円曲線、モジュラー曲線についての知識

理解がある程度必要ですね。楕円曲線フェルマー

と無関係にみてもとても大事な対象です。前に

ふれたように不定方程式のキーポイントにいること。

さらに代数幾何的にいえば、代数曲線で特異点

のないものを考えると代数群になるのは

固有なものでみると楕円曲線だけなのです。

 

固有は厳しい条件ではなく普通のものです。

複素射影空間P_2(C) 内で代数曲線を考えると

すべて固有になります。C上でいえばコンパクト

とほぼ同じ意味と理解してます。代数群は

位相群の連続を有理写像で正則におきかえた

ものと理解してます。たくさんある代数曲線

のなかで楕円曲線だけが代数群になる。

フェルマーにいたる道その6

 フェルマーの問題はディオファンタス方程式、不定方程式

といわれるものの一部です。その一番有名なもの。

ディオファンタス方程式を次数nで分類してみると

n=1 は直線上の格子点(整数点) でこれは高校レベル

n=2 は二次曲線上の格子点これも一部をのぞき

高校レベル、つまり有理数因数分解できるとき

と楕円であらわされるときなど。これらは大学入試で

出題されてきました。ではのぞかれた一部は

双曲線上の格子点の場合、ペル方程式といわれます

x^2-2y^2=1 の整数解とかで 解は無限個で

とてもきれいな理論があります。これらの解は

二次体の単数に対応していて、二次体の

単数はアーベル群になります。

 

 前置きがながいというか、楕円曲線の不思議さですが

n=3 が楕円曲線でこれはまだプロが研究中のもので一番

大事なところがまだよくわからないようです。方程式が

図形をあらわすとみたとき、方程式の整数解や有理数

を格子点、有理点といえば、楕円曲線はその境目にあるよう

なのです。有理数係数二変数の多項式 f(x,y),

 簡単のため特異点がある場合をのぞくと

n=<2 , 有理点は無限個または0

4=<n  有理点は有限個 (Faltings の定理)

n=3, 楕円曲線 それぞれの曲線により

有限個のものもあり、無限個のものもある。

 楕円曲線を境にして有限個と無限個が分かれます

フェルマーにいたる道その5

フェルマーの大定理あるいはワイルズ氏の定理

の証明を理解するのに 谷山ー志村予想を中心

とみると、楕円曲線のモジュライがテーマになり

モジュラー曲線 X_0(N) の理論、さらに

そのヤコビ多様体の理論が必要になる。

 

当然アーベル多様体の一般論 それも普通の

複素数体C上の話より難しい、Q上やZ

上の理論がいるがやはりC上の理論の基礎

なくしては難しいと予想します。というわけで

準備はとても膨大になってきます。素人が

たいした準備なく、ワイルズ氏の論文がわからない

のは当たり前で、エベレストに登るには相当の

訓練準備がいるでしょう。幸いフェルマーがいくら

わからなくても、遭難の心配はないので試行錯誤

しながらすこしずつ近づきたいと思います。

 

フェルマーにいたる道その4  

 フェルマーにいたる道その4

 

ワイルズ氏の証明の理解ということで一言一句

わかるにはやはり専門家でないと難しいあるいは

専門家以上のことがいるかもしれません。

 

 というのは専門家は必要性を柔軟に考えるので

あるいは自分の目的意識から判断するので、ある部分

の必要性が低いと思えば、そこは省略すると思う

からです。たとえば日本人の数学者でフィールズ賞

を受賞した広中氏の特異点解消の論文は500ページ

を超える大作で専門家でも結果はもちろん知っていて

使うが、証明は時間がかかりすぎるし、読まない人

も多いと感じるからです。専門家は新しい定理を発見

することが第一位で過去の結果の理解は必要に応じて

ではないでしょうか。

 

 なにが言いたいかといえばワイルズ氏の論文にいたる

たくさんの先人の結果をすべていちから理解しようというの

専門家ですら難しいと思うということです。ある部分は

目をつむるというか、認めることにする。という姿勢が

必要に思います。私が考えることはあくまでワイルズ

の論文のおおまかな理解を望んでいるだけなので

むしろ、ワイルズ氏の論文にでてくる先人のアイデア

を鑑賞したいのです。いわば将棋の名人戦棋譜

マチュアが鑑賞するようなことを期待しています。

 

フェルマーにいたる道その3

フェルマーにいたるその3

 

 書きたいことはいろいろあるのですが、そのひとつは

ワイルズ氏が決定的な解決者であることはまちがいないけれど

他の数学者もとても大事な貢献をしていることです。

 有名なのはfrey 氏でフェルマー楕円曲線の問題に

転換したひと。ワイルズ氏の言葉か忘れましたが、

時代のながれがちょうど熟していたというか、

スキーム論もすごく発展していて楕円曲線

モジュライもかなりわかってきていた。

 

 あとわたし個人的には ribet 氏の 貢献がとても

大きいと思うのです。ワイルズ氏は 岩沢主予想という

大事な問題を解決してますが、このときrebet 氏の

イデアを参考にしている部分が大きいように感じます。

またfrey 楕円曲線から背理法で矛盾をみちびくとき

ribet の定理をつかいます。つまり何人かのグループで

フェルマーを集中的に研究して攻略し、一番大変な

志村谷山予想をワイルズ氏が解決した。一般の数学者

は正しいと予想しても解決困難としてあきらめていたのを

あきらめなかったワイルズ氏の勝利でしょう。

 昔みた特番ではこどものころからワイルズ氏はフェルマー

に特別な興味をもっていたようです。BBCテレビで特番

を昔つくっていました。サイモンシン氏の本にもあった

と思いますが、証明にミスがみつかり手直しをするとき

のつらさは筆舌につくしがたいものがありそうです。

ワイルズ氏の表情にその一部を感じました。